わがはじ!

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ファン歴23日の僕が「上坂すみれの独り相撲2016~サイケデリック巡業~」に行ってきた話

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革命的ブロードウェイ主義者同盟の襲来に暗雲立ち込める両国国技館(2016/12/23)

 

とうとう2016年も最終盤。そしていよいよ性の72時間ことこの3連休である。世のカップルたちの為にこうした日取りになったとも思える週末、パートナーがいないものにとっては外出すら躊躇わせる。状況としては最早パンデミックに近い。

 

僕はといえば、こうしてクリスマスイヴの昼間から淡々と昨日行った上坂すみれライブの感想を書いている辺りからもう色々察して欲しい。そして何も言わないでほしい。既に実家の母からは小言を頂き過ぎた。もう何も聞きたくない。寒さで白く濁るため息すらも輝いて見える、そんな素敵な連休の初日、12月23日天皇誕生日上坂すみれライブに行ったんだよというお話です。

 

 

・ちょっとヤバい集会感がすごい 

ということで先日、記事にも残したがこの12月より上坂すみれのファンになろうと決めたわけである。

wagahaji.hatenablog.com

今をときめく他のアイドル声優にはない何かを彼女、上坂すみれから感じ取り、その現場を確かめなくてはという気概に駆られ、気づけば友人にチケットを頼み込んだ。サイリウムを購入するのも約8年ぶり。そして満を持して会場の両国国技館へ。

 

こういう声優のライブというのはライブのみならずファンを見る事も一興である。どのような人が集まるのか、特に熱狂的なファンの装いはその声優の方向性を表していると言えよう。例えばゆかり王国のピンクの法被は、一目見て「あ、王国民なんだな」と一瞬で分かる上、そのファンシーかつどこかぶっ飛んだ趣向は、田村ゆかりを表すに相応しいものと言える。

 

さてと両国駅を降りると目に飛び込んできたのは赤いつなぎを着た皆さん。もうカズレーザーばりの赤さ。しかもなんだろう。強面の方多くないですかね・・・初心者の被害者意識がそう思わせるのか、確実にタダもんじゃない空気が墨田区横網に満ちている。革命的ブロードウェイ主義者同盟の見事なまでに赤さに少しヤられる僕。(調べたらその赤いつなぎは今回のライブ物販「うわ!!ガチ勢だ!!つなぎ」という商品だった。頭おかしい。)

 

まぁ冷静に見れば普通の格好をした人もかなりいるし、昨今の声優ライブの雰囲気からすると逆に落ち着いている印象すら受ける。μ'sやデレマスといったライブと比較すると年齢層ももしかしたら若干高めかもしれない。ただ、持っているアイテムに書かれたワードがいちいち「生産、団結、反抑圧(スローガン)」とか「コルホーズの玉ねぎ畑(ファンクラブ名)」とかもう一様に穏やかじゃない為、集団になると一種異様な雰囲気には、どうしたってなってしまう。

 

・「ごちゃ混ぜ」が楽しい

そろそろライブの内容に話題を移そう。ライブレポとしては纏まったモノが既にある為、具体的に何があったのか、セトリ等確認するのであれば飛んで頂きたい。

www.animatetimes.com


詰まる所そういう話はここではしないよ、ということである。僕個人の思った印象をとかく垂れ流していく。

 

開始早々、ライブ開始と思いきや実況席が設けられており、そこには実況として俳優の友部康志氏、そして解説にプロデューサーのキング須藤氏が座る。そして今回のライブの感慨を述べた後、両国国技館に至るまでの道のりを表したVTR、そして上坂すみれの楽屋レポートコントといった具合。

 

そう、流れがほぼ、ももクロのライブと同様なのである。キングレコード感があると言えばそうなのだが、ここまで綺麗になぞるのも・・・とちょっとモニョったりもした。ライブ内容については、楽曲ジャンルが非常に多岐に渡るのが上坂すみれソングの特徴。メタル調から直球ロック、テクノポップから80年代アイドルソングまで。それら全てを生バンドでの演奏で聴くことができる。まさか生音でやるとは思ってなかったので、それについてはただただ圧倒された。すごい。

 

それにしても見ているファンも忙しい。単調にオタク曲ぽくサイリウムを振ろうと思っても、4つ打ちから裏打ち、変拍子、ハイBPMのツーバスとなかなか落ち着かせてくれない。あえて言うならライブ全体に一貫性はそこまで見る事ができず、その奔放かつ多様なパフォーマンスには先のももクロをはじめベビメタやWinkPerfumeの面影すら感じさせる。

 

一体何のライブを見にきているのだっけと、ふと瞬間的に不思議な心地になったりする。そんな中でふと油断すると「生産、団結、反抑圧!」のシュプレヒコール。「なんだかごちゃ混ぜだな」と思う反面、それらをとても楽しんでいた自分に気づく。

 

上坂すみれに見るオタクの本懐

僕は先日の記事に書いた通り上坂すみれに何か「おかしさ」を感じた。故に今回のライブに参加してしまったわけだが、その違和感が何なのかライブに参加する事でようやく掴めた気がした。

 

先入観なのだけど、アイドルは自身を売り込む為にもカチっとしたプロデュースを元に、一貫性のあるパフォーマンスを行うものだと前提として思っていた。ファンとしてもそのアイドルの方向性が明確であればあるほどついていきやすいと。多分その発想自体は間違っていない。しかし、恐らくこの上坂すみれプロジェクトはそれに逆行している。

 

先に言った僕が感じたごちゃ混ぜ感は、アイドルとして売る方向性と、本人の趣向やネタをぶつけた結果として溢れ出したモノだと思う。先般の記事でも触れた「固定ファン層が少ない」という現象は、そのベクトルの奔放さが見る人を選んでしまっているからなのかもしれない。

 

ただ、その奔放さは上坂すみれの「好き」から始まっている印象を強く受けた。本人が楽しそうだからこそ、見ている僕らも楽しめる。中野もロシアもメタルも共産趣味も80年代アイドルもそう。先に書いた通り様々なアーティストの面影を彼女に見るのは、逆にこうしたリスペクトから生じているようにも見える。まさにオタクの本懐とも言うべき「好きであること」「楽しいこと」が彼女の活動の源をなしているのかもしれない。

 

傍から見ている分には「なんか怖い」とか「どういう方向性なのか分からない」とか掴み所がないという印象を与える可能性もあるが、いざ一緒になって楽しんでみると底流には確かに「オタク 上坂すみれ」という人間性が流れている。そのように感じた。

 

・声優歌手による「反抑圧」という挑戦

そして、革命的ブロードウェイ主義者同盟のスローガンの最後に掲げられる「反抑圧」という単語。当初何も知らない状況だと「生産、団結、反抑圧!」と叫ぶファンを見ながらちょっと引いてしまうのは致し方ないことだろう。しかし、考えれば考えるほどこのスローガンがオタクとして声優・歌手活動を行う彼女の本質を射抜いているものに思えて来る。

 

特に「反抑圧」である。アイドルが「反抑圧」の中で生きることは難しいことではないだろうか。ファンからの目線や、売れる為の方策、それらすべてが本来の彼女の人間性に対する「抑圧」となり得るからである。とかく潔癖であり処女性が重要視される対オタク稼業の中で、趣味を全開にする事がある種の挑戦であるように感じる。

 

ただ、そんな中、我々ファンの側も「反抑圧」を叫ぶ構図は実に面白いと感じる。ファンは誰に対して反抑圧を叫んでいるのか。それは当然、表現規制だったりと趣味者階級を弾圧にかかる公権力だったりするかもしれないが、案外ファン自身が上坂すみれを無理に縛ることなく、のびのびとパフォーマンスをする彼女を望んでいるからこそ、自然に上がる声なのかもしれない。

 

つまるところ、ガチガチのファンとアイドルという関係性でなしに、オタク同士の緩い繋がりのままで団結を模索する様にも見えたのである。革命的ブロードウェイ主義者同盟は、外面的に見れば共産趣味的団結といういかにも堅そうな姿を取りながらも、現在におけるサブカルチャーの先鋒として面白いパフォーマンスをしていると感じられた。

 

まぁ、何が言いたいかっていうと本当に3時間。種々幕間はあれど楽曲もイベントとしても密度の高いライブだったことは確かだった。現にこうしてタイピングをしている両肩が悲鳴を上げているという時点で十分に楽しんだことは言うまでもない。そして何より、すみぺに対して「あぁ、楽しそうだなぁ」と思った時点で負けなのだ。友人宅に帰還してdアニメストアで配信されていた今年2月の中野サンプラザ公演も2回見てしまった。要するにハマったわけである。今後についても、引き続き彼女のライブも行きたいし楽曲も追い続けたい。

 

是非「共産趣味的でハマりづらい」「なんか赤くて怖い」等々印象を抱いている方は、まず触ってみてから得手不得手を判断しても遅くないと、僕は思う。まだアルバムも2枚しか出ていない。僕も12月頭に購入してからほぼ半月聞き続けただけで、今回のライブも9割楽曲を抑えられたし最後には気づけば「Ураaaaaaaaaaaa!」と叫んでいた。まぁ、人間何事も慣れるものである。