わがはじ!

めんどいオタクのブログ。同人誌もやってるよ。

堀江由衣ツアー「文学少女倶楽部」に行ってきて嗚咽し続けた話

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おっさんの自分語り多めなのとセトリバレもあるので注意してね。

これまで自分のオタク活動を振り返れば、きっかけは大抵、堀江由衣だったのだと思う。初めて買ったアニメ関連CDは『ほっ?』だったし、最初に定期リスナーになったアニラジは「堀江由衣の天使のたまご」、最初に行った声優ライブ、入ったファンクラブも黒ネコ同盟だった。オタクとしての経歴だけでない。このブログを「はてな」に移して最初バズり、文章を書こう!と気合が入ったのも「堀江由衣プリキュアを演じること」というエントリがきっかけだった。何かにつけて(オタクとして)前に進むときには「堀江由衣」という声優がそこにいたのは確かだった。

 

・7年ぶりの「現場」ゴルフコンペを断る

そんな過去からの思い出に浸ってばかりいてもしょうがないので、そろそろ現在の話を始める。12月15日(日)大宮ソニックシティホールにて行われた堀江由衣のライブツアー「文学少女倶楽部」に行ってきた。

堀江由衣 LIVE TOUR 2019 文学少女倶楽部

 

社内のゴルフコンペとモロに重なり参加も危ぶまれたが、幹事である上席に勇気を振り絞って「参加できません」と返答。案の定呼び出され「なんだ、結婚式か?二次会じゃねえだろうな」と問い詰められたものの、正直に「中学時代から推しているアイドル声優のライブツアーに、7年ぶりの参加なんです」と真っ向勝負。まぁすげえ微妙な顔してたけれど、自分が見せるべき漢気は見せた。先方の心象なんか知らん。こちとら7年ぶりなのだ。周期を考えれば五輪の騒ぎではないし、次がある保証もない。

 

この夏に新作アルバムである『文学少女の歌集』を発売し、そのタイミングにて発表されたこのライブツアー。その報を受けた瞬間の感情をよく覚えている。言ってしまえば、その知らせを聞くまで堀江由衣のライブはもうないと思っていた。思えば彼女が17歳になって20年強。何を言っているのかわからないかと思うが、自分でもよくわからないので穏便に流してほしい。

 

ほぼ同年代、空中に吊られながら腹からCD音源でおなじみ水樹奈々氏を見ればわかる通り、ひとつのライブを貫徹する為には鍛えあげられた肉体が要る。そう、ライブって大変なのだ(小並感)。引き合いとして出した水樹氏は極端な例にせよ、普通のアーティストでも歌いながら、踊り、それを2時間あるいは3時間継続する。普段カラオケで騒いで疲れてすぐ喉痛める我々一般人感覚からすれば、並外れたものだとわかるだろう。

 

堀江由衣に関しては、前々からそもそも体育会系でもないし、ライブにおける運動量もそこまで多いほうではない。そろそろ大々的なライブはもはやキツイのでは。と感じていた中での発表だった。「これは歴史の証人になるしかない」高確率にチケットを入手するため、ここからのFC加入も考えたが、今はコルホーズの玉ねぎ畑一本・・・堅気な性格が邪魔をし通常先行にて応募。(捻じ曲がった)思いが通じたか、何とか大宮ソニックシティ公演のチケットは入手することができた。

 

・人は嗚咽し続けると死にかける。

ライブ当日。既に14日の初日に行った友人と現地で落ち合う。話を聞けば「アニメ関連ライブで過去最高」「近年稀に見る偉大なライブ」「お前は絶対泣く」などと僕の顔を見るや否やあの頃のボージョレ並みの賛辞の嵐。

 

いや、確かに楽しみにしてきたわけだが、ここまで持ち上げられると逆に訝しむのが面倒なオタクの性である。「おいおい、そんな期待値上げられたら、泣けるものも泣けなくなるだろ。流石にもう我々大人だからな」と宣言して、延々薄ら笑いを浮かべる友人たちを横目にいざ会場へ。

 

まず衝撃だったのが、生バンドである。ファンならおなじみだが堀江由衣はバンド演出をまずしない。(1stツアー以来)過去何があったんだというほど、今までのツアーでもバンドによるライブは見ない。その時点で高まる期待。なるべく情報を遮断して来たため、前日セトリもまるで分らない。ただ基本アルバム発ツアーというわけなのだから、アルバム曲が主体だろう。そう準備した自分が完全なる間違いを犯していた。

 

早速ライブ開始。冒頭は新アルバム収録の清竜人楽曲『春夏秋冬』、真っ当かつ今回ツアーのコンセプト楽曲にひとまず安心しながらその姿に見惚れる。5月にも清竜人ハーレムフェスタ(イベントレポ参照)にて、この曲を聴きつつ正気を失いながら叫んでいたのが懐かしい。さて、少しずつエンジンもかかり始めた堀江御大。どの辺りでブーストがかかり始めるだろうか。とこちらが身構える間もなく、2006年リリース『ヒカリ』いやいやいや。冒頭2曲目、すぐ13年前のアンセムやっちゃうの。え?ウソでしょ。元来4つ打ちの気持ちよさが売りのこの曲、生バンドをバックにしたことで更に洗練されて聞こえる。実質アンコールかよ。と脳内でツッコミを入れるも、すでに目頭が熱い。ワンサイドゲーム確定な感も否めない。

 

一旦呼吸を落ち着かせて、次の曲に備えた刹那、すでに膝から崩れ落ちていた。2006年のライブツアー「堀江由衣をめぐる冒険」ではラスト楽曲として演奏された『笑顔の連鎖』だ。何を隠そう、僕が最も敬愛するアニメ作曲家、故・岡崎律子氏作曲の本作は最大のお気に入り曲で「これが聞けたら今回は死んでいいな」と思っていたところに、トドメが入った形。3曲目でもうトドメなのだ。殺す気か。泣くならまだしも、呼吸がままならない。ただ、こんなところで死んでしまっては、ライブに来た甲斐がない。まだだ、まだ終わらんぞ。

 

終わった。いや終わったね。端的に言えば、その4分後に終わった。そしてその5分後くらいにも、また終わった。4曲目は初期の名曲、12人の妹が突然できる系アニメの主題歌『Love Destiny』から、5曲目まさかの2000年の人気曲『桜』である。おっさん、完全に嗚咽。声が漏れそうでタオルを齧る。隣の人の心配そうな目線が刺さる。一体自分でもいつからこんな情緒不安定になってしまったのだろうと心配するも、全部堀江由衣が悪い。いや、キングレコードの三嶋さんが悪い。

 

ライブレポとしては、嗚咽し続けて酸欠で死にそうになり、以後少しずつ記憶が遠のいているためこのくらいにしたい。(最後はフラフラなまま会場を出て、会場に家の鍵を落とし、さっき大宮の交番まで取りに行ったほど)

 

堀江由衣御大が今回のツアーを称して、14日は「近年稀に見るライブ」と呼んでいたらしいが、15日になると「今世紀最大のライブ」に変わっていた。あぁ、納得だよ。確かに今世紀最大だわ。あんたが大将だよ。薄れゆく意識の中で僕は、彼女のパフォーマンスをひたすら泣き顔でスマイルを保ちながら眺め続けていたことだけははっきりと覚えている。

 

・アイドルとしてステージに立ち続けることの凄み

こっから少し内省。この年末のコミケで10年ほど続けた自身の同人誌発刊を最後にした。一応やりたいことの区切りがついたということもあるが、正直何か作り続けることに自信を失っていたのが正確なところだ。またこのブログも「果たしてこんな行為自体に意味があるものなのか」と自問しているうちに、何も書けなくなっていた。

 

今回、堀江由衣ツアーライブに参戦して。諸々の感情を背負いながら、2016年に少しだけバズった「堀江由衣プリキュアを演じること」という自分のエントリを久々に覗いた。完全に言ってることはバカみたいなことばかりだし、結局熱量だけで前後編にわたり長々と堀江由衣への愛やら妄執を語っているだけなのだ。でも、僕が本来書くべきことというのはそういうものだったのかもしれない。

堀江由衣がプリキュアを演じる事について(前編) - わがはじ!

 

中学時代。オタクになりたてだった僕は、麻疹みたいなもので、ほぼ1週間すべてのアニラジを聞き通していた。その中で透明感ある声と、ちょっと変なキャラクター性に惹かれ、堀江由衣という声優に対しておそらく恋をした。いや、もう完全に痛々しいキモオタの述懐なのだけれど、それは事実だから仕方がない。様々な出演作を見て、ラジオや音源を何度も聞いて、ライブ現場に足を運び、部活動や受験勉強で折れそうだった時、何度助けられたか分からない。

 

そして、昨日。7年ぶりに見たステージ上。堀江由衣はあの頃と変わらないクオリティを保ち続けていた。それどころか、ダンスも歌も凄みが増しているように見えた。完全にやられた。15年前、いろんなメディアを通して励ましてくれた人に、まさに目の前でその時と変わらぬパフォーマンスを見せつけられ、感動をしてしまっている。三十路を超え、社会の様々な事情のなかで、徐々に自分を引っ込めにかかっていた自分が恥ずかしく、情けなくなった。それと同時に本当に嬉しかった。

 

年月が経ち、堀江由衣を好きだ、という純然たる気持ちは変わらないものの、それ以上に「彼女に負けないよう頑張らねば」という感情に変わってきたように感じる。そう思うと、3時間弱。そのありがたみに涙が止まらなくなってしまった。

 

・生まれ変わることはできないけれど、変わってはいける

ライブ最後の定番『CHILDISH♡LOVE♡WORLD』を会場全体で歌い上げ一旦の終幕。アンコール枠で再登場した後、まさかの曲を歌った。「自分の曲ではないけれど」と前置きしてから暗転。観客が自然と席に座る。ステージ中央にスポットが当てられ、流れるイントロは岡崎律子作曲の『For フルーツバスケット』だった。

 

堀江由衣ボーカルver.は、2003年リリースのキャラクターソングベスト『ほっ?』に収録されており、当時の僕はこの曲に完全に魅入られた。これがきっかけで岡崎律子という作曲家も知ったし、そこから数珠繋ぎ式に様々な作品あるいはアーティストに触れた。ある種、僕のオタクとしての原点のひとつがこの曲なのだ。ソロライブにおいて生で聴けるとは思ってもいなかった為、案の定この日6度目くらいの嗚咽を何とか耐えつつ鑑賞。

 

約3時間。本当にいいライブであったのは間違いない。ただ、僕個人としては遥かにそれ以上の意味を持ってしまったライブだったと言える。冒頭掲げた通り、様々な「きっかけ」を与えてくれたのが、堀江由衣という声優だった。今回、何かにつけて色々なことから遠ざかろうとしていた精神状況の中で、この曲のサビの歌詞が改めて身に染みた。

 

「生まれ変わることはできないよ だけど変わってはいけるから」

 

自分の嫌なところも、案外悪くないと思うところも、リセットすることは出来ない。才能の有無を嘆き、周囲の環境によって流され、何かを諦めていく。過去何度もこうした葛藤の中、結局踏ん張れてきた。それは、恐らく自分にとって大切な歌や、推しがいたからなのかもしれない。今回、再び。様々なことに対して内心の芽が萎みかけていたところに光が当たった心地である。陰気なおっさん声豚が、長年の推しに対して、静かに、そして深く感謝を抱いてしまったという話でした。

 

 

長くなるとは思っていたけれど、少しだけ長くなってしまいました。そして、痛々しい内省をさらしたわけだが、幾分か気分はスッキリしているもんですね。まぁ、引き続きこんなことも書いていこうと思うので嫌いにならないでください。