わがはじ!

めんどいオタクのブログ。同人誌もやってるよ。

新年を『月姫』リメイク発売決定と共に迎えられる幸せをだらだら書くだけ

f:id:daizumi6315:20210101212146j:plain

Fate展で唯一買ったグッズです。


気づけば開けてしまいました2021年。令和も3年に突入。あけましておめでとうございます。

 

昨年を思い返せば、各所で暗いニュースに振り回された1年だった気がする。個人的にも人生の張りであるコミケは消え、生活の潤滑油である推しのライブは中止、友人と会うこともできず、悶々とした日々ばかりを過ごした感。SNS恒例、年末年始の1年振り返りツイート大会を覗いても「色々ありましたが」「大変な1年になりました」という枕詞から始まるものばかりが目についてしまう。

 

人によっては悔しい感情や厳しい状況を引きずったまま年末年始を迎え、今年もそんな情勢は続きそうな気配が漂う・・・ただそんな中、令和3年に向け一抹の光が我々に降り注いだ。

 

月姫』リメイク発売の確定情報。

www.famitsu.com

 

このブログやTwitterでもさんざん、血の涙を流しながら10年に渡りネタにし続けてきた「月姫リメイク」という呪詛。呪詛というのもあながち比喩でもなく、言ってしまえばリメイク発表から昨日の発売決定告知までの間は、我々オタクは生きて新『月姫』を拝むことができるのかという疑問、そして本当に待ち続けるべきなのかという葛藤の日々だったと言っても過言ではない。

 

サグラダファミリアより先に完成することはないだろう」「3代目奈須きのこの時代まで待たねばならない」などネット上で様々な憶測が流れていたものの、とうとうこの年末。我々のマーブル(幻想)が確実にファンタズム(具現化)されるという、そんな吉報が、この年末恒例となったFGO特番の最後で開示された。やったねたえちゃん。

 

特段、昔の思い出を語ったところで片腹痛いエピソードが羅列されるとは思ったものの、こんな歴史的年始にお気持ちくらい残しても罰は当たらないというもの。以前書いた記事とも繰り返しになるかもしれないが、ぼんやり回顧しながら、暇な正月、この『月姫』への高まりをネット上に書き散らしてみたという次第である。

 

・『月姫』という病理の本質

思えば『月姫』に触れたのは自分が高校生だった頃。確か2004~2005年頃で、すでに同人ゲームとして発売された『月姫』が熱狂的ファンを生み出し、商業メーカー転向後第一作の『Fate/Stay night』も爆発的な売れ行きで広まっていた時分だった。

 

当時、精一杯の学力と実家のガチな貧しさによって得た奨学金をすべてはたいて、ノートPCを購入した。もちろん親には「これからの時代はネットで知見を広めるべき」というプレゼンを建前に、本音はエロゲをやりたいという一途で真剣な理由だけで押し切った次第である。

 

そうなると、オタクから必然的に「Fateってゲームが面白い」という情報が届く。圧倒的な評判はすでに伝え聞いていたため、素直な気持ちで購入しプレイ。まぁ書く必要もないほどハマり倒し、すべてのルート、すべてのタイガー道場を早々にコンプ。そうすると、またまた必然的に「前作の月姫も面白い」という話が。当時は『月箱』バブルが最大風速の頃で、プレミア価格数万円を余裕で超えていたため、全人脈を尽くしてなんとかした。

 

プレイした実感として、スクリプトなどシステムは『Fate』の前作かつ同人作品ということもあって、多少チープさを感じた。ただ、そのチープさ故なのか、あるいは同人作品特有の情念故なのか。『Fate』で感じた以上の「どうしようもない厨二衝動」に襲われ、こちらも寝る間も惜しんで全ルートプレイ。

 

結果「詰襟に憧れる」「急に伊達メガネをかけ始める」「道端のガードレールにやけに座る」など個人的に忘れたい思念や行動は多くなるが、本編シナリオに含まれる多幸感、切なさ、儚さ、など全ての感情を包括したような全5ヒロインのルートは圧巻の一言。『Fate』が完璧に組み上げられた中二病という概念の結晶を死ぬ気で鑑賞する行為ならば、『月姫』プレイは中二病という原子核を直接ぶつけられたような暴力的アクティビティに近い。

 

だって「最強吸血鬼を殺してしまった万物の「死」が視える主人公と、その殺された吸血鬼との恋慕」だよ?いや、もうこの40文字で分かるでしょ?簡素なあらすじだけで、もうオタクにとって致死量である。中学時代にちゃんとした中二作品を摂取できなかった僕にとって、それは受けてはならない一撃だった。

 

また、同人ゲームという不完全性も凶器となった。「ルートが与えられそうで与えられなかったモブヒロイン」が発生したのだ。それこそ「弓塚さつき」という存在。彼女は吸血鬼や能力者といったメンバーがそろうヒロインの中で唯一の一般人枠で、シナリオ途中ハプニングに巻き込まれ、吸血鬼化してしまう。当初の予定ではルートが確保されたヒロイン候補だった。

 

当初何も知らない僕は「マジかーいや、俺こういう薄幸ヒロインにめっちゃ弱いんだよな・・・」勇んで弓塚さつきをクリアしようとゲームを進める。事前のネタバレを徹底的に避けるポリシーによって悲劇が生じていた・・・ルートに入れない?なんだこれ。と根負けしてネットを調べると「ルートがない」ということを知る。質が悪いのは「制作途中までルートが存在していた」つまり、途中で廃線になったのである。だから、レールは敷かれているし、あたかもその先の終点を想起させる仕様になっている。

 

過去、エロゲをいくつかプレイする中で「トラウマ」になる事は結構あったが、これもその一つだ。推しのルートがそもそもない・・・とんでもない名作とめぐりあえたという激情と、途中で分断されたレールを眺める虚無感こそ、この『月姫』という作品を病理と変貌させた元凶である、

 

・リメイクという与えられた呪詛

数年経って、そんな病理の治療が開始される。すなわち、弓塚さつきルートを含めた『月姫』のリメイクを作るというのだ。その第一報がなされたのは2008年だった。型月情報誌『TYPE-MOON エース』創刊に掲載されたブレイキングニュースとして、当時ネットは衝撃を持ってこの報せを受けた。2008年当時、暗い内省ばかりを書き記していた僕のアナログ日記にも「やったね!!さっちんルート!!!!」とそのニュースだけ明るいテンションで記されている。今見ても痛々しい。

 

ただその際の唯一の懸念は「発売未定」という文言・・・まぁ、我々は待つ。待つしかない。そして待たされるのには慣れている。『月姫』FDの『歌月十夜』でもネタにされた弓塚さつきのルートへの言及「さつきシナリオはどんな形にしろきちんと発表する、というのがスタッフさんの総意だそうです」その言葉は、一部熱狂的なファンの心をくすぐったまま、我々ファンとタイプムーンのリメイクの待機合戦に突入した。

 

ネットでも早速『月姫』リメイク発売に関する予測が飛び交った。「1年くらいだろうか」「1年後?ありえない。タイプムーンなら3年はかかる」「3年?楽観的だな。小学1年生が卒業するくらいは待つだろうーーーーーーー」

 

ふと僕は目を瞑る。

Fate/ExtraFate/anlimited code、Fateアニメ化、Fate/zeroアニメ化、Fateアニメ化、Fate/Grand Orderサービス開始・・・・・・・・・

 

時は流れ、2020年・・・え、13年?いや流れすぎだろ、小学生卒業?高校生になってるわ。てかむしろ大学生だった当時の俺、もう社会人になって結婚してるよ?いろいろ経験して、すでに弓塚さつきの着ぐるみとか発注しちゃって色々やってるよ?大丈夫?

 

まぁ、そんな過去のことをうだうだ言っても仕方ない。とうとう我々は、毎年毎年オタクへの年賀状に「月姫まだかなー」とか書きながら、この瞬間を迎えたのである。藤丸役ただのTMオタクであるノッブ氏ではないが、やはり叫ばざるを得ない。我々はようやく勝ち取ったのだ、月姫リメイクが発売される世界線をーーーーーーーー

 

・日本の夏、『月姫』の夏

コロナがいよいよ勢いを増し、外出制限も増え、なかなか希望を持つことすら難しいこの情勢下。年末年始も飲みにも行けず、静かな年越しを強いられたわけだが。僕は、ただ一つのニュースをもって、今年を迎えられたことを心から喜んでいる。

 

自分でもあほらしいと思う。たった一つの同人ゲーム作品。高校時代のトラウマ。そんなものを13年間も待ち続けてしまったこと。そしてその発売決定にここまで心躍らせてしまっている事実。

 

我々にとって『月姫』とはなんだったのだろう。これまで見てきた通り、それはまさしく「病理」であり「呪詛」だったと思う。好きという感情は反転して、当人を縛る。忘れればいいものを、忘れられずにいる。そんなものを神妙な面持ちで有難がる神経のほうがどうかしている。

 

ただ、そんなモノ、心を焦がし、13年間もの間、待っていられる対象が他にあるのだろうか。リメイクと言うからには原作と別物だ。期待は勝手に肥大化している可能性も高い。今この歳になって、実際のシナリオを見てみたら幻滅するかもしれない。様々な憶測はあれども、我々は結局神妙な面持ちでプレイすることだろう。ついついこの夏を楽しみにしてしまう、この感情はどうしようもないのだ。

 

アルク、シエル、秋葉、翡翠琥珀、そして弓塚さつき。高校時代に遠野の屋敷を巡って味わったあの高揚感や、やるせないほどの絶望から、どのように変化しているのか、そして物語はどのように拡張されているのか。それを想像するだけで、オタクとして幸せな1年が始まる。始まってしまう。

 

ちなみにトレーラーを見る限り、これまでのメインヒロイン5人と主人公である遠野志貴のCVは確定している。ルートもあるのであろう。ただ、上記つらつらと書いてきた弓塚さつきの情報が、開示されていない。大丈夫・・・だよね?信じていいんだよね・・・。一抹の不安は残るものの、きっと大丈夫。さすがにね。

 

 

と、いや、何の話だったか。長々とりとめもなく文章を書くのはよくない。気軽に収めようと思ったらすでに4000字。原稿用紙にして10枚を超えているではないか。まぁ、最初から行く当てもなく書き出したので、こうなるのは自明の理なのだけれども。

 

とかく、13年待ったのだからせっかくの今年を楽しみましょうって話です。こんなおっさんオタの内省で波及効果があるかはわからないけれど、今まで『月姫』やったことないです!え?あれ格ゲーじゃなかったの?とかいう御仁は、ぜひプレイしてみることをお勧めします。ということで、本年もなにとぞよろしく。