わがはじ!

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『月姫 - A piece of blue glass moon-』をプレイして(ネタバレ)

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家にポスター貼ってるのもどうかと思う。とにもかくにも『月姫』である。そう、日付を超えて本日9/9(水)はネタバレ解禁なのだ。

 

何度でも言うが、リメイク制作発表から12年強待った。それだけの時間をかけると、先月8/26に迎えた本作の発売はもはや奇跡の類に感じる。限定版が宅急便で家に届けられ、現物を手に取った時でさえ、何かの間違いではないかと数度疑ったほど。何はともあれ、4度の五輪を経て、ようやく『月姫』は我々のもとに届いたのだ。

 

延々待ちわびた僕も30を超えたいい歳のおっさんになっていた。もう大人なのだから、ゆとりを持ち、悠然と時間をかけてプレイするつもりだったが、実態は誕生日にでも大好物を眼前に置かれた小学生男子のソレだった。休日とテレワーク、間隙すべてを使いのめり込んでしまった挙句、約4日間で全シナリオを走り切ってしまった。正直既にロスって仕方がない。

 

そして、本日。発売2週間が経ち。ようやくネタバレ解禁ということで自由に文字を書いてしまいたい衝動に任せて今文字を書いている。ネタバレ禁止とはいえ、こんなご時世でなければ、アキバにでも飲みに行って、プレイ済みの御仁と感想合戦を投げ合っていたところだけれども。それも出来ない中、リメイクに対する感謝と鬱屈とした思いだけが募っている。寂しいけれど、今できる最大の憂さ晴らしをしていきたい。出来ることなら、みな早くプレイしてくれ。そして酒でも煽りながら一緒に語りたいのだ。

 

まぁ、前置きはそんなところで。以下ネタバレしかしてないので、未プレイであればスルー推奨です。

 

 

 

なんにせよ、やっぱし全員かわいくなってるよね。冒頭からネタバレでも何でもない、佐々木少年先生のレポ漫画そのままな意見でしかないのだけれど、本当にキャラデザの「残しつつ、今に改める」バランスが最高だと思う。どう足掻いてもかわいい。ショートで身軽になったアルクも、雰囲気が柔和になったシエル先輩も、もう何をしてもブレない琥珀さんも、まだ表ルートだからギクシャクが残りつつも純真な翡翠も、そして悪辣な言葉で兄を叩きのめす妹も。ずっと画面見ていたい。

 

しかも我々プレイヤーに対するサービスもいちいち素敵じゃないですか。そう、衣装のバリエーションですよ。アルクエイドルートでは、戦闘用ドレスやらデート用私服とか、もう童貞を殺す気満々なデザインにしてやられるし、シエルルートは、硬派な埋葬機関の秘密兵器っぷりが増しているしで大満足。

 

正直言ってしまうと、原作プレイ当時シエルにあまり萌えを感じなかった僕が、今回は完全に落とされかけたよね。CVの本渡楓さんの演技も相まって、なんか学生の頃にエロゲやってて感じた、淡い恋心みたいなものの片鱗を、この歳になって食らうとは思ってないじゃん。深夜ディスプレイに向かって「あ、これって恋かも」とか抱きだすアレ。もう絶対思い出したくないと思っていた真っ黒な感情、案の定このリメイクは呼び戻してくれた次第。

 

個人的にはエクストラEDよりも、ノーマルエンドのほうが『月姫』って感じがして好き。あの「もう元には戻らない、けれど進まなければいけない」という姿勢は、原作の鬱蒼とした中二感をくすぐるし、シエルの再生を志し、バチカンで学ぶ遠野志貴とか何それクソほど熱いじゃねえか…と泣きながらプレイ。そもそもこの作品、メインヒロインが「別れ」で終わるあたり本当に面倒な感情をプレイヤーに植え付けるし、あの悲壮さ溢れるシミジミとした空気感、ああ、これこれ型月じゃん!!と夜中1時半くらいに叫びたくなった。

 

そして、新キャラの多さよね。リメイクと言いながら、原作を粛々と焼き直すのかなと思っていたら、またアクの強いが出てくること。しかも、今回はあくまでも「月の表側」と言わんとばかりに、そのバックボーンについて語られたのは一部のみ。遠野家に出入りしている人間はあくまでも「次回」に取っておくこの用意周到さよ。

 

まず協会側の上司に、なんでマーリオゥとかいう、そういうショタを使うんだ武内社長。口の悪いショタ佐倉綾音とか最高じゃねえかと叫びつつ、セリフもいちいち気障ったらしいのが似非イタリア風情を醸してて悪くない。しかもなんだかんだでいいヤツ。当然、思惑に様々なバックボーンを抱えながらもジャパニーズ反社勢力みたいな恩義の感じ方なのは、嫌いになれるはずがないのよ。罵られた過ぎる。

 

そして、あの怪しい医者、阿良久先生なんだけれど。何が驚愕って、CV能登麻美子って。なんであんなハイテンションキャラを能登麻美子御大に任せるかな、と思いつつ、しっかりと物語のエグイところに絡んでくる両面性に納得。締めるところは締める、そのギャップの魅力ね。怪しい注射に、完全に「そっち」を理解した言い回し、そしてチラチラと匂わせてくる蜘蛛のモチーフも解明しないまま、今作は終えたけれど、色々今から解釈を巡らせるのも楽しい時間ってことで。

 

更に、遠野家に顔を出してくる斉木業人。何あの怪人。どうせ見た目だけのモブ枠かなとか思ってたら、分岐ミスると、サクッと後ろから殺しに来る辺り完全に黒。秋葉ちゃん普段からこんな奴と商談してんの?!と驚きを隠せなくなるくらいには、志貴に敵意丸出し。そして、街でたまに顔を合わせる「みおちゃん」だよね。丁寧に分岐を漁っていると、彼女の苗字が明らかになり…え?この子、全身黒ずくめのおっさんの娘なん?!んで、この詳しい話は次回?!モヤモヤしすぎる。もう早く、年末くらいには新作出してくれ。

 

と、叫んできたけれども、今回の弓塚さつきですよ。CVがレジェンド南央美から田中美海に変更され、あの女性声優界でもきっての型月ファンガールがさっちん役で抜擢。この人選にまずは五体投地で感謝。本編では相変わらず、さっちんルートっぽい分岐はあるんだけれど、選ぶと無難なルートとしてあしらわれる。まあ、最初から分かっていたことだけれど、案の定切ない。今回はホテルに滞在していたとか、ピンチの時には助けにきてね的原作にもあったような描写もカット。ただ、途中で長く学校を休んでしまう描写だけが語られ、これは…伏線ってことでいいんですよね。と静かにプレッシャーを抱く。

 

とりあえず、ここまで書きながら、これ終わらない。『月姫』語りは延々、続けられるなと感じてきたので、もう後はどこかの誰かとの飲み会の席に回すとして、今回一番僕が嗚咽したお話だけしておく。その時は最後の最後に訪れた。すべてのシナリオ、シーンを確認して、型月作品ではおなじみ「デッドエンド全回収」を果たしてみたわけだ。教えてシエル先生を全てコンプリートし、何も用意してないわけないよね?いや、期待しすぎか、と期待半分、諦めも半分でギャラリーを覗くとそこには最後の「教えてシエル先生」のアイコンが。

 

さすがはわれらが型月、こういう心配りが憎いねえと早速拝見してみると。そこで展開されたのはなんと「次回予告」。月の表側で起こる今回のアルクエイドルートとシエルルートが終わり、物語はいよいよ後半の遠野家の中へ。琥珀翡翠、秋葉ルートがあることが示される。その次回予告がすでに存在していたことに、そしてこのオールクリアを果たした後に開示してくれたという心配りに発狂。深夜じゃなければ叫んでたね。スマブラの新キャラ登場に沸く海外勢ってこういう気持ちなんだ、と一瞬で理解。そして、恍惚としたまま予告が終わりそうな雰囲気。あれ?さっちんは?

 

そんなファンの不安をあざ笑うかのように、最後のシーンに夕日に浮かぶ弓塚さつき。叫んだね。叫びながら泣いたよね。ようやく我々の悲願が叶う。何度諦めようとしていたことか、そのルートの存在は最初からなかったものと思い詰めていたところに、何年越しかはもう数えたくないけれど、あの「スタッフの総意」が現実になる日が来るのである。

 

それにしてもプレイしながら「これ高校時代とか10代にプレイしなくてよかったートラウマになってたわwww」とか朗らかに笑ってたけれど、一瞬で手遅れだったことに気づいた。これリメイクだったわ。まだまだ語り尽きない本作の魅力と次回への展望。とりあえずネタバレ解禁記念ってことで、書き連ねてはみたけれども。またしばらく時間が空いたら、ロスを埋めるべくもう1周くらいはしそうな勢いである。

 

この状態でまた数年待ちたくはないので、是非。次回作をすでに喉から手が出るくらい待ちつつ、来年中くらいの発売をひそかに期待するのでした。