雨音が日常と化した。
もう何日降り続いただろうかというこの雨。関東地方から東北にかけて、猛烈な勢いで振り続けた。東京はどうやら小康状態に入ったけれど、今尚その影響は各所に見られる。
普段は「洗濯物が乾かないな」くらいにしか思わない雨も、ここまで降ればもう災害である。そういえば、僕も二年前。台風の大雨で被災した。わがやの天井が落ちたのである。
今回の大雨のニュースを見ながら、その時のことを振り返ろうと思った。
2013年の10月。
秋台風は大雨に注意とはよくいったもので、その時もかなりの雨量だった。雨音の音量を気にしないようにしながら寝ようとすると、どうも窓の内側で雨音がする。これはまさか。と思ったがその通りで。床にちょっとずつ水が滴り落ちていた。雨漏りだ。
ちょっとちょっと。世は平成だぞ。雨漏りなんて昭和の風物詩だろwとか思いつつ、深夜なのでそこにバケツを置いて再度寝ることにした。大家には明日言えばいい。そんな安易な発想だった。
ただ、不可解な事に床に落ちる水の音は、少しずつ増えていく。もう、寝るどころでもなくなった。雨漏りは悪化していたのだ。流石にこれは我慢ならんと、向かいに住んでる大家のおじいちゃんに連絡。雨漏りが酷いという事を伝え、状況を見に来てもらった。
「うわぁ・・・申し訳ないね。明日朝一で建築屋の補修入れるから、今日は何とか我慢して」
流石に時間は深夜2時。来てもらっただけでも、まぁ良しとするかと。色んなものを濡らさないようにカバーをしつつ、雨音だらけの部屋の隅で仮眠をとることにした。ただ、そんな仮眠すら許してくれない雨漏り。次第にそれは、雨漏りというよりはむしろGACKTの部屋にあると言われる室内の滝を連想させる勢いになってきた。マイナスイオンもここまで来ると最早公害である。
しかも、最も水が垂れてくる震源地は照明機器から。電気は消していたものの漏電も心配しつつ、しょうがないので電気カバーを外し、それを水受けに使う。当然、水もすぐ溜まる。溜まっては、捨て、溜まっては、捨て。結局仮眠もできないまま、朝の5時を迎えていた。
これ、会社半休でもしようかなと思っていた矢先。ありえない轟音とともに目の前で、天井が崩れ落ちた。
これがその時のツイート。
https://twitter.com/suku_mizumi/status/390217061353275392
その瞬間「人間って本当に驚くとこんな声を上げるんだな」って声をあげた。「えぇ・・・・」と「うわぁ!!!」が混ざったような感じ。なかなか再現が難しい。とりあえず天井も落ちてしまったので、取り急ぎ大家を呼ぶ僕。かなり長いコールの後ようやく出た大家さんはちょっと不機嫌だった。
「あぁ、だから建築屋は朝になってから・・・」
この瞬間、僕はここ数年で一番ブチギレたかもしれない。
「こっちは天井落ちてんだよ!!!はよ見に来て下さい!!!」
これは通常の事態じゃないと察してくれたのか、20秒後に大家さん到着。惨状を目の前に大家さん、「アイヤー」と一言。中国人以外が「アイヤー」と言ってるのを始めて聴いたかもしれない。
よくよく考えたら中国人が言ってるのも聴いた事がない。とにかくアイヤーしか言えない。そんな感じだった。
実家が近所なので、そのまま重要なモノだけ移送。大家さんが軽トラを出してくれたので、一回で片付いた。その日は結局一睡もせず、午前中に工事の着工手続き。午後からは出社。普通に21時まで仕事してた。
哀しい性で、この天井落ちた写真を使いながら、得意先やら客先にアピールをし、点数を稼ぐ僕。ツイッターに上げた画像は結構バズられ、NEVERの被害まとめにも載ってた。
SNSで天井の穴の如く空虚な心を埋めていたところ、妙なツイートがRTで回ってきた。
どうも見覚えのある写真。そして知らないアカウント。完全にわがやの天井崩落ツイートがパクツイされていたのだ。そしてそのパクツイ主は「大丈夫?」との他からのリプに「なんとか平気www」とか返してた。
自然災害も怖いけど、やっぱし人間の闇も怖い。せっかくなので、そのパクリツイートをふぁぼって「大変そうですね^^;」とリプを投げといた。
後日談として。
色んなものが濡れてダメになり、実家への避難生活を余儀なくされた僕。でも、結果的にはエアコンを新品にしてもらったり、物損保険で得したり。まぁ、悪い事ばかりではなかった気がする。
仕舞いには、冬になると極寒のこの部屋。大家さんが布団屋さんだったので、濡れてダメになった布団を破棄。冬に備えて、あったかい布団をタダでもらえた。天井が落ちてなかったら、凍え死んでたかもしれない。色んな事に意味はあるんだなと、ふと思った瞬間でした。