わがはじ!

めんどいオタクのブログ。同人誌もやってるよ。

そんなに言うなら評論島へ来いよ(個人的評論情報本15選)

ここ最近、毎回コミケやら同人誌の話題ばかりで飽きられている気もしているのだが。もう少しだけ我慢頂きたい。というのも、ちょっとまだ言いたいことがあるのだ。

 

今回のコミケ前こんなことを呟いたら、思いのほか拡散されてしまいなんだか複雑な心境だったのである。

 

久々に5000RTなんかいったわ。ということで、ニッチな世界のはずのコミケでも更にニッチな空間が広がる評論・情報島。このツイートを見て「分かる」「そうなんだよなぁ」という共感と同時に「え、そんなものもコミケにあるの?」とか「エロ本だけじゃないのか」といった意見も散見されたのが結構個人的にはびっくりで。あぁ・・・そっか。そもそも評論情報というジャンル自体を知らないって人もいるのね・・・ということで、今回は個人的に「こういう本と出会えるよ」っていうのを自分の本棚から引っ張り出して紹介。お前らそんなに共感・拡散するんなら、評論島にも絶対来いよという半ばやっかみの記事である。

 

超個人的な紹介かつ、身内補正も多分に含まれているので、そこは暖かい目で見ていただければ幸いである。また、今回紹介するのは、これまでの参加歴で自分が購入したものであるため、現在は参加されていないサークルさんもある。そこはご注意くださいませ。

 

・サークル:悪人酒場 「ビール本シリーズ」

http://shop.comiczin.jp/products/list.php?category_id=5166

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いやぁ、とりあえず流行ってるよね。グルメ&お酒関連。ということでその筆頭に近い悪人酒場さんとこのビール紹介本。毎度のフルカラー印刷かつハイクオリティなレイアウトデザインと醸造所に直接出向く取材力、もうなんていうかすごい。とかく「ビールが苦手」という人でも「こんだけ紹介されたら一つくらい口に合う銘柄もあんじゃねえの」と思えるほどのバリエーションを、なんとコミケで売ってる本で知ることが出来る。クラフトビールからコンビニで買える缶ビールまで、ありとあらゆる角度からビールを扱いつくす姿勢にただただ感服。バーなんかでちょっと一緒になった女子に知識ひけらかしたいという安易な貴方にもぜひ勧めたい納得の評論シリーズ。

 

・サークル:オタクとデザイン 『OTAKU×DESIGN』シリーズ

まんだらけ通販 | オタクとデザイン

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このシリーズをきっかけに評論島に興味を持ち、そして僕自身も雑誌を作り始めたという思い出深い本。デザイナーの染谷洋平氏が企画から制作全般を行った非常にスタイリッシュなシリーズとなっており、とらのあなのロゴデザインについての考察や、オタク関連グッズのパッケージデザインについての論評などは「こんな同人誌があったのか」と唸らずにはいられない。細かなコーナーなども秀逸であり、一冊通して文字が基調ではあるものの飽きずに読める。とにかくオシャレ評論同人誌の先駆け的存在と言えるだろう。

 

・サークル:くぬぎやま通信社「アキバ暮らしを楽しむ本」/秋葉に住む「秋葉に住む」

http://office-k2.sakura.ne.jp/akiba/ くぬぎやま通信社さん

秋葉に住む

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それぞれ別のサークルではあるものの一貫して秋葉原に住み、暮らすという視点で書かれた評論雑誌シリーズ。何が圧巻って、単なるカルチャー本かと思いきや完全に住宅事情からおすすめの周辺マンション、そして今後の建設予定までを網羅する、なんていうかアキバに住みたい人のための不動産バイブル。『アキバ暮らし~』の方がグルメといったよりカルチャー寄りなコンテンツを含むのに対して『秋葉に住む」の方が土地柄や立地といった硬派なイメージを抱く。何はともあれ、趣都秋葉原で暮らす上では全国流通している本以上に専門性が高く、地場に密着した情報を得る意味ではおススメなシリーズ。

 

・サークル:M3-PRISON『脱衣舞シリーズ』

看守控室@M3-PRISON/ウェブリブログ

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『脱衣舞』ってなんじゃそりゃ、と思われるかもしれないが、まぁストリップショーのレビュー本である。確かシリーズ19弾まで発刊されていたはず。なんでそんなものをセレクトするのかいえば、前にこのサークルさんとお隣になったのだが、いかんせんそのキャラの濃さに圧倒された。サークル主の短髪で金髪のおばちゃんから、ストリップショーへの愛とその魅力を開催中に教えていただけた。内心では「高須院長」と呼ぶほどのキャラクターで、本の内容も勢いそのまま。レイアウトは単調ながらも文字の力がすごいこと。評論島ではこういう濃い方との出会いも楽しみの一つ。そういう目線から足を運んでみると、思わぬ知識を授かったりする。一回浅草あたり、見に行ってみたいなぁ。

 

・サークル:テクノコスプレ研究会『女装と思想』シリーズ

同人誌 『女装と思想』 | あしやまひろこのサイトとブログ

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以前、弊サークルの既刊「女装という在り方」でもお世話になったあしやまひろこ氏主宰のサークル。なんていうか、うちと違ってインテリ感がすごいし、女装という文化に向かう熱量も並大抵のものでないと感じる。また三橋順子氏を招いた回などは読み応え十分。僕も同様な特集を組む中で「よく呼べたな・・・」と感心するほかないできとなっている。あしやま氏自身も多方面にわたって活動している為、同人活動だったりその他ニコニコ技術部だったりと、その活躍の幅は広い。今は沼津周辺の研究に忙しそうなので、またいつか『女装と思想』再開してくれないかなと内心思ったりしてる。女装文化について知る上でのある種の教科書とも呼べるシリーズ。

 

・サークル:金腐川宴遊会『二級河川』シリーズ

金腐川宴游会 (@kinyuukai) | Twitter

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正直このサークルさんの本は今のところコミケでは買えない。主に文学フリマにて活動されているようである。僕も以前文学フリマに参加した際にお隣となったときに諸々お話して、一気に惚れ込んだサークルだ。どうも高校生時代の旧友数人で活動しており、それぞれのニッチな知識を持ち寄って記事を書いている合同誌のテイスト。ちなみにシリーズ10作目までは身内だけで楽しむ為の会報誌だったとのことで、ノリで同人誌を作ってみたという。だが、それらテキストの質は異常に高い。ネタにしても「ファミ通町内会の人ら集めて長文書かせた」みたいな質量は、ぜひコミケ参加をお願いしたくなるレベル。サブカル好きなら、この本を見かけた際には確実に買い占めた方がいい逸品である。こういう謎のサークルとの出会いもまた、評論情報の魅力かもしれない。

 

・サークル:星空亭『この東方同人がすごい!」

紡 (@tsumugu) | Twitter

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東方ジャンルが一世を風靡していた絶頂期。東方オンリー最大のイベント「例大祭」が開始してから、しばらくしてそこに評論島が出来た。その中で見つけたのが本書である。この着眼点が憎い。他の二次創作と違い東方の世界観は半ばファンアートに任されている部分が大きい。そうすると、漫画を描く人間によって数々の東方の世界観が生み出される。そこに着目し、同人誌をレビューする同人を作ったという発想力は称賛に価する。当時も「あーこの手があったか!」と手を打ったのを覚えている。単に「何かのスペシャリストじゃないといけない」ということではなく、アイデア一つで雑誌を生み出す。まさに出版社の発想を見いだせるのも、評論という島の面白さだろう。

 

・サークル:手ブラおぢさんズ『ラベルデザイン』シリーズ

おかやん (@okayan08) | Twitter

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やけにテプラ好きな人っているよね。というところから、ここまでやるかというシリーズ。町中で見かけるテプラで作った表記をわざわざフルカラーで一冊の本に仕上げるというその気力がすごい。なんだろう、あの会社の備品に注意書きのためにテプラ貼るのはいいけど、情報多すぎて逆に何言いたいのかわからなくなっちゃってたり。日本人のデザイン性に対する悲しくも不器用な性をそのまま見せられているような気分になる。日常見逃しているところもよくよく見てみると「なんでここにテプラなんだろ・・・」みたいなツッコミを抱くこともある。そんなふとした時に感じる面白さや、シュールな空気を味わえる秀逸な一冊。

 

・サークル:町田メガネ

町田メガネ@3日目東T41b (@machidamegane) | Twitter

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正直言えば、胡散臭い。毎度なかなかに胡散臭い感じの本を出す。この夏コミも買いに行きたかったのだけど、自サークルから手が離せず。何がそんなに胡散臭いのか。まずは企画である。この写真の『秒速でDJに為る条件』完全に、秒で1億稼ぐあれのパロディだし、その他既刊にも『ツイッターコミュニケーション読本』『アラサーオタク女子生存戦略』『コミケマーケティング論』などなど。企画力と言えば聞こえはいいが、とかく煽るネタスタンスで顧客をつかむ。こういう戦い方もあるのだなと毎度唸ってしまう。評論情報は企画の強さが非常にモノを言う界隈である。そりゃ漫画と違って、試し読みもちょっと無理がある。その中において強気の評論ジャンルを、町田氏は繰り広げている。

 

・サークル:Ensonode『スク水あならいず』シリーズ

ぼつよん@C92-2日目東ミ01bちほー (@botuyo) | Twitter

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かつてこんなに適格で強いスク水紹介があっただろうか。と思わせるレベルの情報密度。なんていうか、これまではメーカーやデザインにとどまっていたスク水評論を素材レベルでの検証から、乾いたときの透け具合から強度といった部分まで徹底的に分析。詰まるところ、他製品との比較検討を行うという非常に理系的アプローチから発せられるスクール水着評論本なのだ。確か、購入するにはいわゆるメカミリジャンルに行かなくてはならなかったはずなので、手に入れにくい部分もあるが、そのコンセプトやスク水愛は間違いないため購入すべき代物である。未読の方は是非ともフェチの一歩先のスク水評論を味わってほしい。

 

・笹松しいたけ『スク水うどん珍道中』

新スクの淵から

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スク水の話題が出たならばこの本を外してはなるまい。コピ本と思って侮っていると、その猟奇的ともとれるコンセプトにやられる。先にいうと、まるでうどん関係ない。ひたすら空気嫁スク水を着せて、その触感や伸縮性、挿入のしやすさといった様々なポイントから評価をなす本となっている。そういう意味では上記の『スク水あならいず』の先駆なのかもしれないが、どうでもいい感も否めない。しかしながら、この本をきっかけに僕自身は氏とも関係性を持つに至ったし、なんていうかスク水は人と人をつなぐんだなぁって思いました。改めて読み返すと、よくこれでメンタル保っているな、と感じる良書。

 

・サークル:monomaniaK『Kemonoclome』シリーズ

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ケモノファンの為の評論誌。なかなかにその着眼点も鋭く、関連漫画のレビューから着ぐるみの論考、さらには性的欲求にいかにつながるかというようなフェティシズムの話まで及ぶ。僕個人かなり興味のある話だったので当時熟読したのを覚えている。ケモナーはなぜケモナーなのか。その問いは基本的に僕自身が現在行っている評論の在り方に近いし、あーもうちょっと僕も同人やってる時期が早ければなんか一緒にやってみたかったなぁと思わざるを得ない。アプローチも内省的というか、非常に自分の癖を一歩引いた目線でみようとするメタ視線が評価できる。今見ても、しっかりとした論考が編者の真面目さを伺わせる一冊。

 

・サークル:ダム日和 『私立荒玉女子高校ダム部 活動日誌』シリーズ

まずまずのダム日和

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結構ダムって人気あるんだなとよく思う。建造物の写真集なんかでもダムって思った以上に集客力あったり。そんなニッチながらも堅実なダムの世界を余すところなく同人誌にされているダム日和さんのシリーズ。このシリーズでは井上よしひさ著・少年画報社『ダムマンガ』というダムをテーマにした漫画の聖地巡礼を主に扱っている。そのため、周辺地図といった情報もわかりやすく掲載され、専門性というよりはイラストレーションから誰でもダムに親しめる内容となっている。このVol.4にて漫画の最終巻に追いついたため、この先はどうなっちゃうのかなとちょっと寂しい感じも。サイズもA5判と手ごろな感じもあり、かわいいながらも本格的なダム評論紙として魅力が詰まっている。

 

・サークル:外蛇口『外蛇口』シリーズ

外蛇口ドットコム

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数ある評論サークルの中でもかなり好きなシリーズ『外蛇口』ごん助氏の目の付け所にはもう拍手するしかない。だって、外蛇口だよ?完全に日常に溶け込んでいるのに「なんでこんなところに蛇口あるんだろう」と疑問に思ったが最後。この蛇口を誰が使っているのか、あるいはここの周辺にはどんな生活があるのかなど、想像力が無駄に掻き立てられてしょうがない。まるでトマソン物件のような哀愁と、その蛇口を見逃さない氏の執念には感服してしまう。このような「ふと見ると普通だけど、よーく観察すると面白いもの」それが評論島にはあふれていると思うし、この本みたいな視点を持つことで、日常世界がより面白くなると僕は思ったりする。

 

 

以上、なんかかなり長くなってしまったけど。トータル15選、いかがだっただろうか。多少触手が反応してくれたのならそれ以上のことはない。ただ、それでもここに挙げた本はまだまだ厳選ということで。まだまだ紹介したりないのが本音。「評論島面白そう」と引用コメでツイート拡散するだけじゃなくって、現場に行ってみるともっと面白いものがまだまだ散らばってたりするよ、という示唆だけ残して。とりあえず今日はもうお疲れさまでした。