わがはじ!

めんどいオタクのブログ。同人誌もやってるよ。

ネット時代における、あの頃のエンタメの価値とは

好きだったな、と未だに思い出す番組ってあるよね。


ここの所、気圧の変化が激しく、身体が動くかどうかは気候次第という、大変環境任せな毎日を送っている。気圧に影響を受けない人は、前世どんな徳を積んでいたのか教えて欲しいレベル。

 

と、そんなことはさておき、明日は第3回目のおたっきぃ佐々木氏とのトークイベント。おたさささん誕生日&うる星やつら放映開始記念&アニゲマスター放送開始25周年という、なんだか盛沢山な記念日イベントになってます。

 

入場料不要、19時から開始しますので是非、秋葉原のBAR from scratchさんに遊びに来てくださいね。詳細は下記ツイートから。

 

ということで、明日の準備も兼ねて。頭の体操がてら、内省を吐き出す事にしたい。

 

 

毎回言ってるかもしれないが、後期アラサーになってくると、1年ってものはとても早くなってくるもので。今回は何をもってそう実感したかと言えば、僕がYoutubeで、Vtuberやら配信を見るようになって、来月で約1年が経過してしまうようである。

 

「早々に飽きるんじゃね」とか思っていた割に、切り抜き・配信はちゃんと追っかけているし、なんなら登録チャンネルも、ホロライブに始まり、にじさんじ、ぽこぴー、おめシス、あおぎり高校、ハクノ…としっかりと沼ってきている。推しも出来て幸せな生活を送っている次第だ。

 

加えて、配信を見ているうちにYoutubeという媒体自体にも抵抗がまるでなくなったように思う。日々テレビ替わりにオモコロチャンネルやらリュウジのバズレシピを嫁と見ながら飯を喰らい、野球好きがたたって、上原浩治古田敦也辺りのチャンネルも欠かさずチェックしているし、これまで興味が余り湧かなかったような、麻雀などのチャンネルも眺めるようになってしまった。

 

詰まるところ、ネットや周囲でよく見る「テレビすか?あんま見ないっすね…」と言ってるような人が、この1年で完璧に出来上がってしまったように思う。

 

正確に言えば、NHKは毎朝見るし、ニチアサは未だにプリキュア~戦隊までチェックはしている。ただ、それ以上テレビを見るかと言われればそうでもない。むしろ、Youtubeはプレミアム登録をしてしまい、広告を飛ばす事でインターネッツにおいて快適にコンテンツ摂取を行っている毎日である。

 

と、ここまで書くと「テレビ文化は死に絶えた」みたいな論調か?と早合点される方もいらっしゃるかもしれないが、今日言いたいのはその逆なのだ。ネット配信を多く眺めるようになって1年、却ってこれまで見てきたバラエティ番組や、過去に聴いてきたラジオ番組といった存在の価値を感じる事が増えたのである。

 

要するに、今までマスメディアという、比較的距離感があった枠組みとして眺めていたモノが、ネットを通して急に身近な存在に代わり、逆にその「企画を生む」という生々しさまでも垣間見える機会が増えた、という事である。

 

そのことを特に象徴的に感じてしまったのは「オモコロチャンネル」での一場面だろうか。10年以上前から、尖ったスタンスで記事を掲載し、着実にその地位を得てきたネタ系ポータルサイト「オモコロ」だが、近年Youtubeにおいてもチャンネルを開設。メインで活躍しているライター5人を中心に、動画で様々な企画にチャレンジしている。

 

そんな中「低レベル格付けチェック」という企画を行った回があった。タイトルを見れば分かる通り、テレ朝系で今も年末や改変期に放映されている『芸能人格付けチェック』のパクリ企画。本物では数億円するバイオリンの音を聞き分ける、といった豪勢な企画だが、オモコロチャンネルでは「数百円高い鮭フレークの味を見極める」と言った庶民版。パクリとは言っても、その目の付け所は面白かったし、十分楽しめた。

 

ひとしきり盛り上がった末、動画の最後にライターの一人で副社長の永田さんが「いや、面白かったね。このフォーマット作った人やっぱ天才だわ」としみじみ感想を述べるシーンがあり、見ているこっちも「確かに」と唸ってしまった訳である。

 

これまで、民放のバラエティ番組を垂れ流すように見ていて「この番組好き」とは思えど、その企画を思いつくまでの困難さであったりとか、企画がどれほどに優れているか、という点まで意識することは、正直あまりなかったように思う。

 

しかしながら、この1年。様々なチャンネルを見る中で、当然Youtuberの方々も企画に悩んでいることが分かるし、人々の可処分時間が取り合いになる昨今では、発信するコンテンツ数が非常に重要になっている。チャンネル登録数を確保する為に、人も予算も限られる中、数と質を保たねばならないという実にシビアな状況下だったりする。

 

そんな時代において、90年代以降、これまでに数多く存在していたバラエティ番組におけるアイデアや着眼点の価値が、今相対的に上がっているというのは間違いではないだろう。

 

例えば、90年代にニッチな人気を博した『ウンナンの気分は上々。』この番組を未だにお気に入りに掲げるアラサー諸氏も多いだろう。「友情発見バラエティ」と銘打たれ、緩い旅番組のテイストをメインとしながら、芸人がそれぞれ車を走らせ、旅をする。淡々と字幕とコメントが画面に表示される光景は、今のYoutuberがアップする動画のいちスタイルとも合致する。その系譜で言えば当然の事ながら『水曜どうでしょう』は完全に現在のYoutuberが行っている事の先駆であるのは間違いない。

 

また、にじさんじコンテンツを日常的に見ている人であれば、特に感じるところは大きいのではないだろうか。「にじヌ→ン」「にじさんじのB級バラエティ」「ろふまおチャンネル」など、露骨なほどに元ネタにバラエティ番組が存在していたりする。当然、現在活躍しているYoutuberやVtuberタレントの価値が、その各番組の面白さを保っているという部分は多分にあれど、そこに格子として存在する「企画・枠組み」の強さは無視出来ないのではないだろうか。

 

加えて言ってしまえば、雑談を中心とした配信全般におけるラジオ番組の文脈も非常に大きいだろう。オールナイトニッポンやらジャンクなど、古来からのラジオ文化は勿論のこと、声の才能を十分に活かしているVtuberなどは取り立てて、声優ラジオのフレームワークが多分に活用されている事だろう。先人が築いてきた「番組の枠」というモノが、色々な所で活躍していることを再度実感させられている日々である。

 

と、このように1年間Youtubeに浸った事で翻って、これまでのテレビ・ラジオが積み重ねてきた「文化」を改めて感じてしまったという話。

 

いや、Twitterとかでも「テレビはオワコン」とか「マスゴミ」とか、そんな安易な論調を見る度に感じていた不平不満をこんな形でぶちまけてしまった訳だけれども、僕自身もこんな形で過去に好きだったバラエティやラジオの再発見を果たすとは、という気持ちである。

 

「温故知新」とはよく言ったもので、古きを知り新しきを知るし、新しき中に、古きものの価値を感じる事が増えたように思う。多分、僕がここまでYoutubeで見る動画や配信者にすんなり肩入れ出来ているのも、そうした古いフォーマットがそれぞれのチャンネル内に着実に受け継がれているからなのだろうとも思う。

 

単純に、古いものはオワコン、切り捨てるべきという思考から、一体僕らはどのような土壌の上で僕らはエンタメを楽しんでいるのか。そんな文脈も踏まえてコンテンツ消費に勤しみたいと思う秋の日でした。気候の変動が激しいので、ご自愛くださいませ。